好きであるが故に再びアニメと声優に触れるのが怖い話
自分は15年来のオタクである。
大学時代はエロゲにハマり、I'v sound縛りでオールしながらニコニコ動画などの当時最新のコンテンツにもハマっていた。
そして社会人となり安定した収入を手にした自分は1冊800円の細長いきらら系漫画を揃え、きんいろモザイク、ゆゆ式、ご注文はうさぎですか?といった日常系アニメの円盤を着々と揃えていった。
その後、ごちうさのイベントから佐倉綾音にハマり、声優沼にもハマり、出勤のお供はAyane*LDKという生活となり、ズブズブと両足両手を沼に沈めていった。
趣味よりも仕事を優先していたころ
一方で会社員の仕事にも興味を深めていった。
元々研究開発という頭を使ってひたすら考える仕事は興味があり、与えられたテーマは大学の先生が「それは難しいよ~」というハードなものだが、だからこそ面白かった。
いつの間にか仕事終わりにアニメを見ていた生活は、仕事後も会社の図書室にこもってテーマに関する勉強を行い、移動中も頭の中で化合物が動き回る生活に変わっていた。
テーマに関係する教科書を自腹で買い、土日もコーヒーを片手にひたすら家で勉強をしていた。
いつしか自分の心の中の優先度が変化して、趣味の時間はすっかり減った。
最優先は勉強、次に優先するのは脳を休めるための休息、そんな生活が1年、2年と続き、気がつけば自分は30代になっていた。
キレイな思い出になるほど再び触れるのが怖くなる
30代になり、自分自身も仕事に慣れてきた。
一生懸命取り組んできたおかげか「勉強のやり方」自体が身についてきて、昔よりは効率的に仕事ができるようになってきた。
それとともに時間が空いてきた。
そして空いた時間は周りの人に誘われたイベントや頼まれごとで消費されるようになってきた。
自分の時間の使い方を自由に決めるよりも、人に決めてもらうほうが楽だったからかもしれない。
しかも人のために時間を使ったらその人から感謝してもらえる、それによってちっぽけな自己肯定感を高めたかったのかもしれない。
ただ、そんな時間の使い方をしていても、アニメや声優の推し活に時間を使おうとは思わなかった。
昔のようにハマることができないかも、という怖さがあったからだ。
何年もオタク趣味に触れていないと、いつしか作品自体が思い出として美化されていく。
そんな思い出をそのままキレイな状態で残したかったという気持ちが強かったのかもしれない。
ハマらなかったらどうしよう、次にどんな趣味を見つけよう。
そんな思いを持ちながら、ずっと新たなアニメの開拓や声優ラジオの視聴から避けていた。
何に怯えているかわからない、勝手に自分でシャッターを閉めている。
そんな気持ちが強かった。
ただ、30半ばになって、多少丸くなったのかもしれない。
最近アニメや声優ラジオを抵抗なく聞けるようになってきた。
こうして、懐かしの扉を開けたとたん、また両手両足は沼にズボッとハマってしまったのだ。